龍登園のGardening Diary「四季折々の植物 アザミ」

龍登園のローズガーデンの約400株の薔薇たちや、敷地内の草花の管理に
アドバイザーとしてお手伝い頂いている吉田先生のガーデニング・コラムです。

四季折々の植物 『アザミ』

アザミ(薊)

科名/キク科アザミ属
学名/Cirsium
分類/多年草
原産地/日本など北半球
花期/4月~7月
アザミは、キク科アザミ属及びそれに類する植物の総称で、標準和名を単に「アザミ」とする種はない。全ての種に「○○アザミ」とある。
名前の由来は「アザム(傷つける、驚きあきれる意)」がもとで、花を折ろうとするとトゲに刺されて驚くからという説がある。

スコットランドの紋章のバッジ
スコットランドでは、そのトゲによって外敵から国土を守ったとされ国花となっている。
アザミの根は、山牛蒡(やまごぼう)として漬け物に。

(特徴)

平地から高山まで広く分布する。日当たりのよい道端、草原などにふつうに生え、渓流の縁や海岸などに生える種もある。
多年草、まれに一年草もある。葉は互生し、羽状に深い切れ込みがあるものが多く、葉縁や総苞に鋭いトゲがある。
花は球状から筒状で、花期は春咲きと秋咲きがある。春咲きは「ノアザミ」が代表的で、その他は初夏から秋にかけて咲く種が多い。
花色は赤紫色や紫色がほとんどで、まれに白色もある。


(食用)

主に花蕾が出る前の若い茎葉で、花や根も利用できる。採取時期は春(4~6月)で、柔らかな茎葉を採る。花は初夏から初秋、根は一年中採取できる。強い灰汁(あく)があるため茹でて、よく水にさらす。トゲは煮たり揚げたりすると柔らかくなり、気にならなくなる。
根は刻んでから水につけ灰汁抜き、きんぴらや粕漬け、味噌漬物などに利用できる。根が食べられるアザミ類は、モリアザミやフジアザミ、ハマアザミがある。
花や根は焼酎に漬けて健康酒もでき、強壮・健胃によいと言われる。


(有毒植物との区別に注意)


ヨウシュヤマゴボウに注意!

モリアザミの根は食用になり、「ヤマゴボウ」と呼ばれることがある。しかし、学術上の種名、ヤマゴボウと洋種ヤマゴボウはいずれもキク科ではなく、アザミとは類縁関係の遠いヤマゴボウ科であり、薬用にはなるが、食用になるどころか有毒植物であり、混同して誤食しないように 注意を要する。

ノアザミ( C.japonicum DC)
春ノアザミは大体これと考えてよい。
本州~九州。

タイアザミ(C.nipponicum var.incomptum)
大薊=大きなアザミのことで、別名、トネアザミ(利根薊)ナンブアザミの変種で関東地方に多い

フジアザミ(C.purpratum(Maxim)Matsum)
花の直径が8㎝にも達する(花の画像:フラボン)
関東~中部地方の山地

ノハラアザミ(C.tanakae)
秋に花を咲かせる。
本州中部以北の山地の草原や林縁に分布。

ハマアザミ(C.martitimun Makino)
海岸性のアザミで、葉が厚くてつやがある。
本州中部以南、九州までの太平洋岸。

モリアザミ(C.dipsacolepis(Maxim) Matsum)
本州~九州の草原。時に食用に栽培される。

ナンブアザミ( C.nipponicum(Maxim)Makino)
本州中北部では普通に見られる。
変種を含めると、四国一帯にも分布。

オニアザミ(C.borealinipponense Kitam)
中部地方、東北地方の日本海側の山地の草原に分布。

キセルアザミ(C.sieboldii)
本州、四国、九州の山野の湿り気のある場所や湿原に分布。

サワアザミ(C.yezoense)
近畿から北海道南部にかけての日本海側の沢沿いや川そばなどの湿り気のある場所に分布。

モリアザミ(C.inundatum Makino)
本州、四国、九州の山地の日当たりの良い草原に見られる。

ツクシアザミ(C.suffltum(Maxim.)Matsum)
九州では一番普通なアザミ。四国、九州に分布。

タカアザミ(C.pendulum Fisch.ex DC)
北海道、本州北部に分布。
東アジアにも分布する。

ごく分布が限られたもの

チョウカイアザミ( C.chokaiensis Kitam.)
東北鳥海山の高山の草原に分布。
準絶滅危惧(NT)

オゼヌマアザミ(C.homolepis Nakai.)
群馬県、福島県、新潟県にまたがる尾瀬及び同県内の湿地に限られる。

アイズヒメアザミ(C.aidzuense Nakai ex Kitam)
福島県会津地方および同地方に接する山形県、新潟県、群馬県、栃木県の一部に自生。
絶滅危惧IA類 (CR)

ジョウシュウオニアザミ(C.okamotoi Kitam)
群馬県、新潟県の県境、およびそれに接する福島県、長野県の山域に分布。

シマアザミ(C.breviaule A.Gray)
南西諸島に分布。沿海地の草原や砂浜、岩礫地に生える。

オガサワラアザミ(C.boninense Koidz)
小笠原諸島に分布し、海地の草原や砂浜、礫地に生える。

参考資料 フリー百科事典・ウィキペディア

花と緑の仕事人 「吉田和三」

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動物と植物の関りは、地球誕生から今日まで、生命を維持するための酸素の提供、体を作る食料として切っても切れない関係にある。 また人類との関係は有史以来、冠婚葬祭などのお供え物に利用してきた。
この冠婚葬祭に植物を利用することがガーデニング (園芸作業)の始まりである。 初めは、野山にある植物の葉や花を摘んで飾ったであろう。

しかし、野生の物を取りに行くより、家の近くに植えた方が効率が良いことに気づいたのである。その為には「いつ頃移植をしたが良いか」「いつ花を切ったが長持てするか」など試行錯誤したであろう。

私達は先人からの教えでより良いガーデニングを行うことができる。


このコーナーでは、植物に関わる事を紹介しようと思う。